食x農の連携勉強会@長野県「職人館」 開催レポート
食x農の連携を学ぶ勉強会
私たち日本冷凍めん協会では本年度、食x農の連携について学ぶ勉強会を企画しています。
第1回目は、2025年10月10日(金・冷凍めんの日)に、長野県佐久平にある「職人館」へと伺い、料理とともに店主である北沢 正和氏よりお話いただき、学びの機会をいただきました。
職人館 北沢 正和 店主
・1949年長野生まれ。
・長野県佐久市で公務員として20余 年勤務後、1992年、八ヶ岳北麓で 古民家を再生し、蕎麦(そば)と創作料理の店「職人館」を開館。
・地場産食材と職人の技を融合した農家レストランの草分けとして知られる。農家レストラン企画委託、講演、執筆なども展開している。
・2010年農林水産省第1回「料理マスターズ」では全国7人の料理人受賞の一人に選ばれる。2024年には同ゴールド賞を受賞。
職人館について
古民家を再生した「職人館」。四季の山里が大窓に映える厨房で、
北沢店主は地場産のそば粉100%の蕎麦を打ち、山里の季の食材を自在に組み合わせた彩り料理を作る。
料理・講話レポート
店内
築100年を超える古民家を改築。店内は、木のぬくもりに包まれた、心落ち着く空間。
北沢店主が地場でとれた素材を各メーカーの特注で作られた醤油やみそ、日本酒などの購入コーナーがある。
日本酒は店の隣の田んぼでとれた酒米を使用。
料理
最初の料理は「村のとうふ」。
地場で育った大豆「さといらず」を使用した手作りで、大豆の豊かな風味を感じられる。
笹川流れの塩他2種類の塩と合わせるとさらに甘みが増す。
北沢店主が自ら採取したカラス茸を使用した薬膳スープ。素材のだしがしっかりでている。
前述の塩を加えるとさらに味わい深くなる。
地場で採った鮎を焼いたのち干したものからじっくりだしを取った干し鮎のスープ。
鮎もそのまま食べられる。独特の香ばしさと深みのある味。
90歳の近所のおばあさんが栽培した落花生。茹で落花生としていただく。
1つ1つの粒が大きく、味が濃く、フレッシュな食感。
はないぐち(天然キノコ)とシナ大根の大根おろし。
歯ごたえが堪らなく、濃厚な旨みの天然きのこ。シナ大根の辛みと相性抜群。
地場の野菜と太打ちそばのサラダ。ドレッシングはビーツ。地元のりんご、伝統野菜の古代きゅうりを使用。
開店当初から提供しているが、当時はそばサラダのようなメニューは他にはなかったとのこと。
お皿はドイツから取り寄せ。
天然のポルチーニ茸と蓼科豚のリゾット。地元の古代米やもち麦を使用。
それぞれの素材が味わい深く、豚肉もしっとり、うまみがある。
福見鶏の胸肉ロースト、蓼科豚のミンチ、地元の山椒をつかった麻婆豆腐
ジェノバソースの手打ちの蕎麦パスタ。
イタリアのおばあちゃんのパスタの打ち方を学んで店主が手打ちをしたパスタ。
山椒の香りが立ち、ジェノバソースと麻婆豆腐の組み合わせが新しい。
手打ちそば2種。色の濃いものは十割。白い蕎麦は、蕎麦の実の中心部のみを使用した二八蕎麦。
そばのつゆ、そば湯がまた絶品。
サツマイモの寒天寄せ。甘酒ソース。
最後は、チャーナという茸のお茶で締めくくりました。
お料理とともに提供された日本酒は、職人館オリジナルのもの。職人館の目の前の田んぼで収穫された「ひとごこち」という酒米でつくられているそうです。
なるべく料理のボーダーを無くしたいと語る店主の北沢さんから学んだ、北沢さんの価値観
- 手仕事であること自体には意味はない。市販の冷凍食品も購入して食べるが、中途半端な手仕事なら冷凍食品のほうがおいしいと思うこともある。手仕事で出せるおいしさを追及している。
 - 食事と健康は密接につながっている。体に良いものを取っていれば、健康でいられる。(実際北沢店主ご自身も大病ない人生を送られている)
 - 「裏地が重要」:お母さまが着物屋を営まれており、言われていたこと。調味料など、見えないところにこそ、そのものの本質がある。
 - 「ご縁が大事」:店を開かれてから、様々な国の料理人の訪問があるが、快く受け入れている。国内でも様々なシェフとの交流もあり、その中で調理技術を身に着け、地場の食材を最大に生かす調理につながっている。
 - 料理は料理人が作ったような顔をしているが、料理家ができるのはほんの少しで大部分が生産者の力である。
 
勉強会参加者の感想
- その日その日のとれた素材にこだわった、既存の概念にこだわらない料理であり、冷凍めんを作っていく上での可能性を感じた。
 - 地域でしか取れない食材を使うという視点から食材を知ることができ、地域限定商品などの開発につながる。
 - こだわりと味が見事に両立されており、伝統を重んじながらも斬新なメニュー構成で、北沢店主の思想が体現されている料理であった。
 
お料理から、そしてお話の中から食と農の深い深いつながりを学ばせていただく、大変貴重な機会となりました。




















